5年の間に、私だけ既婚の遠距離婚外、彼の結婚、お子さんの誕生を経て、仕事の忙しさも相まって何もかもが噛み合わなくなって、苦しくて苦しくて離れる事を決めてからもう1年半がたとうとしている。
こんなに時間がたつと、ここにいる皆さんの婚外事情にも変化が出てきていて、今とても苦しそうな方もいらっしゃるので、近況報告がてら、婚外恋愛を終わりにした私の今の気持ちを書いてみようと思いたった。
この1年半、彼と付き合っていた時以上に私は彼の住む街の近くに仕事で行くことが多くなった。
会おうとすればすぐに会える距離にいたのに、1年半を置いても会わなかったのは、決して気持ちがなくなったからではなくて、苦しくなる前、楽しかった頃にはもう戻れないと、お互いにわかっているからだと思っている。
1ヶ月に1度くらいは取っていた連絡は、9月に私側に起こったとある事情をきっかけに完全に途絶えた。
私の誕生日も、彼の誕生日にも、やり取りすることはなかったけれど、時間薬は確実に効いていて、あまり胸が痛むこともなかった。
彼を好きになってからどうしても異性として向き合えなくなっていた主人とは、私が彼を好きになる前の関係に戻っている。
毎日、主人の帰りを穏やかな気持ちで待ち、休日は2人で過ごし、彼に悪いと、付き合っていた5年間避け続けていた2人きりの旅行にも出かけている。
この人と結婚してよかったと、毎日温かな幸せに包まれながら思う。
芸能人の不倫が明らかになる度に、自分にはもう後ろめたいことがないこと、家族や周りの人を傷つける事なく終わらせられたことにホッとしている自分がいる。
では、私は彼の事を忘れられたのか。
残念ながら、彼の事を想わない日は、まだ1日たりともない。
まだ残っているわずかな彼との繋がりを辿っては、彼と過ごしたことを思いだす。
1年半たって見かけた彼の近影には、私と付き合って末期の頃の、どこか余裕のない感じがなくなり、隠し事をして生きている人間ならではの影のようなものも吹っ切れて、すっきりとした表情が見て取れた。
これでよかったのだと、思う。
この恋愛はふたりきりの関係だから次第に煮詰まっていく。
家庭には子どがもいて、毎日変化に追われて賑やかに生活をし、親戚や友人の前にも、夫婦一緒に出ていけるから、世界も広がる。
だけど不倫関係はふたりだけで完結しなければいけない。
私たちはそれで行き詰まったのだ。
薄れていく記憶と、風化して小さくなりながらも、おそらく消えない痛みと彼への想いを引き連れて、遅かれ早かれ訪れていた未来に、いま、私はいるのだと思う。
決して、悪くない未来に。